2017年5月9日火曜日

グレアムのミックス係数

グレアムのミックス係数を割安の基準に採用している個人投資家もおられます。
疑問に思っていたことが解決しましたので、取り上げてみようと思います。

グレアムのミックス係数は PBR × PER で計算され、
22.5 を超えると割高と判断されるそうです。
ミックス係数が 22.5 となる株価を、バリュー投資家は割高と言うかもしれませんが
ここでは適正株価と呼び、割高と割安の境界線を調べてみます。

PER=15, PBR=1.5 は適正株価となります。
グレアムもこの数値を基準にして算出しています。
このとき、ROE=0.1 となり、ROE 10%, PER 15倍ということになります。

PER=22.5, PBR=1 も適正株価です。
このとき、ROE=0.044 となります。
ROE 4.4%, PER 22.5倍はかなり割高に感じます。

PBR=0.5, 1,0, 1.5 の場合にミックス係数が 22.5 になるように PER, ROE を計算します。
(ただし、ROEは %)
 PBR  0.5    1.0   1.5
 PER   45  22.5    15
 ROE  1.1   4.4    10
これらは同じ係数のはずですが
ROE が低い場合に高すぎる PER が許容され、不自然に感じます。
PBR=0.5, PER=20, ROE 2.5% の場合、
ミックス係数は 10 まで低下しますが、割安に感じられません。
このような理由から不自然さを感じていました。

グレアム著「賢明なる投資家」の298ページにミックス係数に対応する記述があります。
7つの基準の7番目で PBR < 1.5 を要求しています。
ただし、PER < 15 の場合は、PBR × PER < 22.5 であれば、
PBR > 1.5 でも可としています。
6番目の基準で PER < 15 を要求していて、例外はありません。
PBR > 1.5 は条件次第で許容されますが、PER > 15 は対象外なのです。

「グレアムのミックス係数は PER < 15 を前提とする」というのが結論です。
PER が低ければ高い PBR は許されますが
PBR が低くても PER が高いことは許されません。


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